お嫁に行く日
今まで生まれ育った家から結婚式場に向かう
何度も頭でリハーサルしていた。
そんな朝。
いつもどおりに朝ごはんを食べて
いつもどおりの家族。
でもどこか緊張感が漂う。
ずっとタイミングを探していた「伝えたい思い」
ずっと言えず、言えずにいて
出発の時間がやってきた。
車の助手席に乗り込む
窓を開けて
「あのさ・・」
言いかけて 言葉に詰まる
「幸せになれよ・・・・」
顔を真っ赤にして目頭を押さえた父親
そんな父親を横に
ぽんぽんと私の肩をたたく母親
顔はくしゃくしゃで 言葉が出てこない
私は、
「ありがとう・・」
そう言葉を振り絞ったところで
ゆっくりと車は走り出した。