優しさの見つけ方
明日のスケジュールを確認して、買ったばかりの固い手帳を閉じる
今日も長かったようで、早かった1日が終わっていく
まだ手に馴染まない手帳とは裏腹に、見慣れた日常達が見慣れた風景を通り過ぎて行く
カーテンの隙間から差し込む、冷たい空気をくぐり抜けた太陽の光で僕の1日がスタートする
いつもと同じ駅で降りて、バスに乗り換え、会話の無い、いつも会う同士たちと目的地をバスに委ねる
窓の外には、無邪気に雪山で遊ぶ子供達
重い荷物を持って吊革を必死に握るおばあちゃん
「おばあちゃん。ここに座っていいよ」
バスの中の、視線は一瞬で、小さなヒーローに集まった
僕もバスの前方にいた、小さなヒーローを見た。
いつの間にか心の中に閉じ込めていた、優しさが僕を包み込んでいた
日々の忙しさの中で出会った小さな優しさはその日の僕を素晴らしい日に変えてくれた。
いつも通りの帰り道で家路を急いだ。
そこにはいつもと変わらない、優しく温かい大切な人の笑顔が待っていた。
いつも当たり前にあるせいで、感じれなくなっていた優しさ。
誰もが、持っている
誰もが、持っていたはず
いつも手に届くはずの場所に存在する優しさ
その優しさを感じれるのは、自分が優しくなれた時
優しさの始まりは、いつも自分の中に・・・