貴女からの卒業
貴女はいつも明るくて
私はいつも貴女の笑顔を見上げていた
私が泣くと
貴女はやれやれって顔をしながら
涙を拭ってくれた
学校で嫌なことがあって
怒って帰ってきたときも
貴女はおだやかな声でなだめてくれた
私の思い出にはいつも貴女が居て
喜怒哀楽を共に過ごしたね
貴女は本当によく私の真似をする子で
いつも私のことを見上げて
「おそろい」って笑ってた
すごく元気な子だったから
走り回ってよくケガをして泣いていたっけ
学校でお友達が嫌がらせをされたからって
すごく怒って帰ってきたこともあったね
その正義感にたくましさを感じたな
私にとって貴女はかけがえのない大切な娘で
日に日に成長して
知らぬ間に大人になって
気付いたら・・・
「お母さん、私、結婚します」
なんて。
びっくりしちゃう。
「お母さん、私、今までお母さんに甘え過ぎてた。
今までごめんね。
私、お母さんからもう、卒業するね。」
それは私の台詞。
お母さんこそ、貴女から卒業するね。
『ちょっと待って。
“卒業”だなんて言って、二人ともそんなに泣いて。
寂しいじゃないですか。
むしろこれから、僕が入学させてもらいますよ!』
そう笑顔で言い放った青年。
その笑顔は貴女によく似てる。