【ウエディングSTORY】初めて約束をやぶった日
実家のインタホーンを久しぶりに押した
5年前に母を亡くし、寂しく過ごす父には結婚式の案内状を直接渡したかった
郵送すれば簡単だけど、ちゃんと手渡しで想いを伝えるために
帰り際に父から
「手紙は読まないでくれな。泣いちまうから。」
私はちゃんとした返事もできないまま実家を後にした
父は幼い頃から厳しくも優しく私を育ててくれた
厳しかったせいもあり、父親との約束はちゃんと守ってきたつもりだ・・・
結婚式もエンディングを迎え、両親に感謝を伝える
大きな花束と、読まないはずの感謝の手紙
記憶の中では初めて、約束を破った。
「お父さん。ごめんなさい。読まないと約束した手紙を読ませてもらいます」
大切なみんなの前で、声に出して伝えたかった
声でしか伝わらない愛を伝えたかった
そして何よりも天国のお母さんにも聞いて欲しかった。
罪悪感などどこにもなかった
大切な方々の前で、心からの感謝をお父さんと天国のお母さんに伝えることができたから
初めて約束を破った私の目には、
号泣してるはずのお父さんが見えない程の大きな涙が溢れていた