幼馴染のアイツ
幼馴染のアイツ。
俺が結婚式決まったって話してから、
「スピーチは俺に任せろ！！！」
ってかなり気合入ってて。
友人スピーチとか、
恥ずかしいから良いよ、って言ったんだけど。
アイツは聞かなくて。
結婚式の２日前に一緒に飲んだときも、
「バッッチリ考えてあるから。原稿も用意してるから。」
って満面の笑みで、すごい張り切ってた。
何話してくれるんだろうな。
まあアイツのことだから
ふざけたことばっかりなんだろうな。
なんて考えて、当日を迎えた。
「新郎のご友人代表スピーチをお願い致します！」
司会から紹介されたアイツ。
「はあいっっ！！」
・・・気合、空回りしてない？大丈夫？（笑）
・・・
予想外にアイツ、
かなり熱いこと、俺ももう覚えていない
出逢ったばかりの頃の思い出とか話してくれて。
良いヤツだな、なんて思ったりして・・・
・・・なんだか様子がおかしい。
それまで原稿を見ながら話していたアイツが、
泣いてる。
泣きながら、原稿をくしゃくしゃにして、涙を拭いてる。
「俺、ほんと、お前のこと、好きでさあ・・・
お前に、幸せに、なってほしくてさあ・・・」
忘れてた。
アイツ、泣き上戸だった。
たっくさん友達や職場の人や親族がいる前で、
アイツ、ひっどい顔で泣いてる。
なんだか情けないのと笑えてくるのと可愛らしいのとで、
俺まで泣けてきた。
それからはなんだかよくわかんなかったんだけど、
ゲストのみんなも
俺も奥さんもアイツも
みんなして笑いながら泣いてて。
後半本当よくわかんなくなって、
ゲラゲラ笑い出しちゃって。
気付いたらアイツと抱き合ってた。
結婚式って、俺と奥さんだけのものじゃなくて、
大切な友達とか大切な関係、大切な想いを
再確認できる すっごい良い日なんだな。
その日のお酒は 本当美味しかった。
