だいすきなまま
昔からそうだった
仲は良いのに、お互い素直じゃないままと私
素直に甘えたり、したことが無くって
いとも簡単にそれができる妹や弟がうらやましかった
ある日プランナーさんがしていたベールダウンのお話
『花嫁の最後の身支度、お母様にお願いしましょうか』
『清浄のシンボルである「ベール」は邪悪なものから花嫁を守るもので
挙式の前に花嫁の母がおろし、花嫁を式へと送り出すものなんですよ』
正直、お願いできるか不安だった
素直に甘えられない自分の気持ちが邪魔をしてしまって…
挙式直前 私は緊張や不安で何かを考える余裕が無く
その瞬間はあっという間にやってきた
プランナーさんが呼んできてくれ ままとこんなに近い距離にたった
ままとこんなに近くで向かい合って
まっすぐに目を見たことはなかった
まま、だいすき
いつも本当にありがとう
自然と溢れ出てくる言葉と涙は止まらない
なんてことをしてしまったんだろう
お嫁に行く日にやっと素直になれることを知った
何故だか出てきた ごめんね の言葉を伝え
もう一度 まっすぐに見つめたところ
ままはいつもの優しい顔で首を横に振っていた